ステルス《STEALTH  FIELD  GENERATOR》

IT様によるステルス試聴レポート


TMDからまだプロトタイプのまったく新しい機器をお借りしました。名前は、『ステルス』。これは4号機とのこと。ジャンルとしては、私の見解ではスーパーツィーターに近いと最初、感じましたが・・聴くほどに別の印象も加わって行きました。たぶん、TMD主催の畑野さんはスピーカーの限界を破りたかったのではないでしょうか。私は、左右2つのスピーカーで再生されるステレオには、2つの限界があると思っています。
 
一つは、可聴領域を超える高域や低域の不足。それを補うためにいろいろなスーパーツィーターやスーパーウーファーが売られています。もう一つは、スピーカーユニット2点から出ている音によって音場を作っているので、実際のライブ会場で聴く音より平面的になりがちな点です。メーカーによってはツィーターをスピーカー後方にも追加したり、全方位に拡散するユニットにしたりしています。
 
TMDの『ステルス』は、どうやらこの2つに効果がある機器のようです。まったく新しい機器なので、ちょっと頭を整理するために図解します。

『ステルス』は4つのユニットで構成されています。置き方や向け方、またそれぞれON/OFFスイッチやボリュームがついているので、ものすごく細かい調整ができます。唯一耳で聞こえる高域を出しているピエゾツィーターの音量調整も4つのユニットそれぞれについているので、ほとんどの環境で合わせられそうです。TMDに聞いた話ですが、通常のピエゾが出せる周波数レンジの低域側と音量をかなり狭めることにより、より質の高い音になっているようです。

『ステルス』は、置き方によってまったく違う音場を展開します。
 
まず、スピーカーの上に(写真A)のように置いた場合。音は少し上方向に拡がり、心地よい優しい自然なライブ感が楽しめました。
(写真B)の置き方の時、ピエゾツィーターから微かに聴こえる高域がダイレクトにくるので、シンバルのパシャンという一音を聴くには、これはこれでよかったですが、音の拡がりはほんの少し狭かったです。また、ピエゾの音量を少し下げるとバランスがよかったです。
(写真C)の置き方の場合、横方向に音が広がるが、壁に近いせいか、ステージは少し狭く感じました。しかし、ツィーターと高さが揃っているおかげか、スピーカーの上と違い振動がないため、一番明確な輪郭のある音がします。
 
また、『ステルス』の下に何をインシュレーターに入れるかによっても、かなり音が変わります。一番効果的だったのは、2.5cmのカーボンでした。やはりカーボン特有の高級な{滑らか}な音になります。

リスナー側ステルスの置き方もいろいろ試しました。まず、スピーカー側だけONにして、リスナー側をOFFにした場合。『ステルス』が何もないときよりは、あきらかに立体感があります。次にリスナー側ユニットのエレメント1のみONにします。奥行方向での立体感が増し、隣の席からざわめきが聞こえてきそうな雰囲気が出てきました。リスナー側ユニットのエレメント1・2ともにONの時、さらにベースラインなどの低域方向で音の感触が明瞭になります。という結果だったので、以後はリスナー側ユニットのエレメントは1・2ともにONにして置き方の違いを比較します。

まずは、TMDで『ステルス』視聴させていただいた時に近いリスニングポイントから少し手前に置きました(写真D)。少し前方に音場が展開し、ライブ空間にほぼ近いと思いました。

 
 
次に、リスニングポイントより少し後方(写真E)に置くと、これはゼリーでできた音の世界に入ったかのように、もう自分の周囲が音で溢れかえっています。かなり気持ちよく、夜中に照明を暗くして音楽聴くなら、これがよかったです。

 
 
最後に、(写真F)のように左右非対称に変更、これがいろいろなジャンル聴くなら今のところ一番良かったです。ゆったりとした空間のあるライブハウスで寛いで聴ける雰囲気のある音場でした。

『ステルス』は、いまのところ聴いた限りの音源すべて、とてつもないレベルで臨場感をアップさせています。『目の前に演奏者が立って息遣いとともに演奏ししている』、と使い古されたコピーのような言葉しか出てきません。機器交換やケーブル交換のように音色や質を変えるということはなく、現状の音のバランスのまま臨場感がアップしています。臨場感がここまでアップすると、音楽聴いている時の幸福感がまったく違うものになります。音楽に包み込まれているようで、いままで音楽に入り込むために少し意識を向ける必要がありましたが、『ステルス』を入れた後は、勝手に没入しています。この何とも言えないリアルさの違いが、ライブでしか体感できないような次元の違う幸せを感じさせてくれます。
 
試しに、『ステルス』をOFFにすると、いつもの、のっぺりとしたスピーカーに張り付いた音に。ONにすると、ライブハウスの音。隣の部屋で聴いていても、まるでライブハウスの扉があいた時に聴こえるライブ感たっぷりの音。と、誰でもわかる程の差です。オーディオアクセサリー誌で音場が拡がると宣伝されているものも、以前いくつか試したことがありますが、それらは本当に真剣に違いを探してやっとかすかに変わって聴きやすくなったという程度だったので、こんなに変化するものが世の中にあるとは、と驚きでした。ステレオ雑誌でよくスピーカーが消えると書かれていますが、自分の狭い縦長の部屋に押し込まれたスピーカーが消えるなんてありえないだろう、と思っていましたが、『ステルス』を入れたら簡単に消えました。
 
あと、『ステルス』を入れてから気づいたのが、いままで音質悪くて聴く気がしなかった盤でも、結構聴けるようになりました。また、前より音量が上げて聴いています。どうやら、うるさくなくなるようです。



実際にいろいろな音源聴いて確かめました。

Steely Dan 「Babylon Sisters」はスタジオ録音の優秀盤ですが、これライブでしょ、と言いたくなる変化に。


試しに、Eric Clapton のライブの超有名盤「UNPLUGGED」を聴いてみると、ありえない臨場感。1.5m先でクラプトンが演奏してます。
 

Diana Krall「When I Look In Your Eyes」ハイレゾで聴いてみると、ストリングスの音がふわっと滑らかに波紋のように拡がっていきます。

Pentangle「Pentangle」のBellsでは、左右に乱れ飛ぶようなアコギの揺れる音を見事に描き出し、トライアングルの澄んだ余韻がすばらしい。

Misha Trio「Pure Imagination」冒頭の同名曲の素晴らしい楽器の描き分け。

Chris Connor「バードランドの子守唄」はドラムレスですが、見事に目の前で歌っています。

Shelby Lynne 「Just a Little Lovin 」のシンバルとドラムの位置がわかります。
悪くなった盤がいまのところ一つもありません。
 
いままで自分のステレオから出せる理想の音はこんなものだろう、という固定概念を見事に打ち砕いた『ステルス』。イリュージョン発生装置、ホログラフィックマシーン、とでも名付けたくなるまったく新しい体験でした。TMDのavantgarde trioで聴かせてもらって「すごいなぁ~」、とため息でましたが、たぶん自分の機器ではうまくならないんじゃないかと。しかし、予想が外れて、自分の機器で聴いても「本当にすごい!」と。環境の違いを問わず、『ステルス』は見事な音場発生装置として私のオーディオを次元の違う音に変化させました。(IT)
 
 
 
再生環境:
クリーン電源:光城精工製DENKEN DA-7050T
自作PCオーディオ×2(再生ソフト JPLAY / PC電源、ほぼ外部電源。)
自作DAC (旭化成 DACチップ AK4495 /材料費二十万強くらい)
アンプ:TMD TERRANOSAURUS
ケーブル:TMD AMRITA-ELIXIR(DAC→プリ)、TMD KING of GOLD(プリ→パワー)
TMD ELECTRUM(スピーカーケーブル)
スピーカー:EgglestonWorks Andra